「理系たまご」シリーズ誕生裏話 1 文法や用語はもちろん、「理系英語の学び方」がわかる本
信定薫

<プロフィール>
奈良女子大学大学院理学研究科(物理学専攻)修士課程修了。専門は原子物理学理論。同大学院博士課程中退後、フリーランスの翻訳者となる。論文、報告書、マニュアルなど、幅広い分野の英日・日英翻訳で活躍中。

工夫がつまったワークブック

全国有名書店・大学生協の理工書コーナーでは定番となっている、シリーズ第1作『理系たまごの英語40日間トレーニングキット』。そのワークブックを執筆したのは、自身も理系出身のベテラン翻訳者でした。この2冊のワークブックには、理系英語の専門家ならではの工夫がぎっしり詰まっています。

 まず、書くときに常に念頭に置いていたのは、「理系の学生が読んで楽しめるような本にしよう」ということです。

 実は、理系英語は中学程度の文法でも十分読み書きができます。ただ、あいまいな言い方など「使わないほうがいい表現」があったり、日常生活では使わない理系特有の表現を覚えたりする必要があるんです。そこで、このように知識として知っておきたいことを、ワークブックの『基礎編』に集約しました。『基礎編』で扱っている理科や数学の用語は、中学、高校で習うものが中心。大学に入ったばかりの学生でも、抵抗なく読みすすめられます。すでに知っていることが、「英語で言うとこうなるんだ」とわかって世界が広がるといいと思っています。

 また、『発展編』では、理系学生が興味を持ちそうな、最先端の話題を中心に素材を選んでいます。勉強になるだけでなく、読んで楽しい内容になるよう心がけました。この、「読んで楽しい素材」と「重要な文法項目」のマッチングにはかなり苦労しましたね。ここでは、中学、高校で学ぶレベルの文法事項について、学校の教科書とはちょっと違った、独自の視点から解説しています。

例えば、冠詞。(本書『発展編』p.8-13)

中学・高校の一般的な教科書では
  • ・ 初出のものはa/an、2回目以降は the
  • ・ 世の中でひとつしかないものは the
  • ・ 特定のものを指す場合は the、不特定なものはa/an
......と、たくさんのルールを暗記して、英文を書くたびにそれらをひとつひとつ当てはめ、使う冠詞を決めていたと思います。

これを『理系たまご』では、次のように説明しています。
  • ・ 英文を書く人にとっても、読む人にとっても不確定なものは a/an
  • ・ 両者にとって限定された確定的なものは the

 このように、冠詞のルールは視点を変えれば、もっと簡単に基本原則を説明できるのです。『理系たまご』では、文法項目をなるべくシンプルに説明するよう心がけました。

 私自身、学生時代には英語でとても苦労しました。そのため、少しでも理系の道に進む学生の皆さんの手助けができればと思っています。そこで『理系たまご』では、文法や表現の解説だけでなく、どの部分をどのように勉強するかということも、自分の体験をもとにアドバイスしました。(すでにお持ちの方は、本書『ワークブック発展編』の19ページや71ページをご覧ください)

 皆さんが理系英語を習得し、日本人であることのハンディを感じずに研究生活を送れるようになれば、私にとっても誠に幸いです。

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