最先端の医療情報の多くは、欧米から発信されます。また、国際共同治験の推進や外資系企業の参入などにより、医薬品業界は急速に国際化が進んでいます。医薬品業界で活躍する人には、英語は必須となってきました。

 さて「薬学英語」と一口で言っても、多様な種類の文書があり、その難易度もさまざまです。また専門分野の英語を扱う場合には、英語の難易度と専門性の高さによる難しさは、分けて考える必要があります。

 本書では、専門性の高さと英語の難しさの両面から薬学英語を学んでいけるよう、同じ医薬品に関するさまざまな難易度、専門性の文書を集めました。そのため、薬学の専門家である先生方のご協力を得ています。まず専門家の先生方に、それぞれの立場から必読の文書をいくつか選び、それを選んだ理由や重要なポイントを説明していただきました。さらに、専門的に重要な語句や表現についてアドバイスをいただいています。

 一方私のほうでは、それぞれの文書の構成を見て、OCHAの考え方を利用して文書の特徴を捉えるための解説と練習問題を執筆しました。OCHAとは科学分野でよく利用されるプロセスで、現状を観察(Observe)し、観察したものを整理して(Classify)、自分なりに仮説を立てる(Hypothesize)方法のことを言います。本書の場合、それぞれの文書の特徴、たとえば文書の長さや動詞の特徴、書式などを観察し、整理していくことがこれにあたります。それを元に、文書の特徴について仮説を立てると、その種の文書をどのように読み、利用し、あるいは自分で書けばよいかが分かってきます。つまり、立てた仮説を元に、それぞれ自分の研究や状況に当てはめてみる(Apply)ことができるのです。

 本書が、薬学のプロフェッショナルを目指す皆さんの学びの一助となることを願ってやみません。

 本書は、ある程度薬学の知識を持ち、実践的な薬学英語を身につけたいという方のための教材です。そのため、英文素材として実際に医薬品業務の現場で使われている本物の文書を利用することにこだわりました。論文、雑誌記事、医師向けの添付文書、患者向けの説明書、ガイドライン、規制当局とのやりとりの手紙など、まずは扱う文書の多様さを実感してください。そして、こうしたさまざまな文書スタイルに応じた読み方や、難しい専門用語が数多く登場する英文を効率よく読む方法などを、本書で身につけていただければと思います。付属CDには、重要単語のチャンツや一部の英文の読み上げがぎっしり詰まっていますので、合わせてご活用ください。

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